【公務員の時事問題】インド太平洋の島しょ国をサイバー防衛で支援!一帯一路についても復習

時事問題

今回は公務員試験をはじめ、時事を重視する試験では頻出の「外交」に関するニュースです。
「インド太平洋」、「サイバー防衛」というワードもわかりやすく解説しているのでご安心ください。
また、このニュースに関連する「開かれたインド太平洋」、「一帯一路」についても学べます。

概要

政府はインド太平洋の国・地域と、サイバー攻撃に関する情報網の構築に乗り出しました。ロシアや中国、北朝鮮が各国の政府機関を狙ったサイバー攻撃を仕掛けていると分析していることが背景にあります。すでに日本はオーストラリアやアメリカ、東南アジアの国とサイバー対処の能力を拡大しています。今後はサイバー対策が十分とはいえない新興・途上国も組み込んだ情報網を築くため、支援を拡大していきます。

インド太平洋地域 とは?

インド洋から太平洋にかけての地域のことです。
この地域は人口減少が進む先進国とは対照的に、人口が多く、経済成長が著しい国もたくさんあります。
一方で、軍事力が近代化し、軍事行動が活性化している国もあり、安全保障に課題があります。
後ほど解説する中国の「一帯一路」にも含まれています。

重要度は増すばかりの「サイバー防衛」

サイバー攻撃の防止や、万が一受けた場合に被害を最小限に抑えるための対策をひっくるめてサイバー防衛といいます。
あらゆるものがインターネットにつながる「IoT」で世の中はとても便利になった反面、国の機関や企業へはサイバー攻撃の危険が及ぶようになりました。

2020年には、ロシアがアメリカにサイバー攻撃をしかけて機密情報を入手し、米大統領選挙に介入するという事例がありました。
これについてはロシアのプーチン大統領の親友のエブゲニー・プリゴジンさんが「ええ、サイバー攻撃で介入しましたよ」とあっさり認めています。彼はロシアの民間軍事会社「ワグネル」の創設者として、ウクライナのニュースで聞いたことがある方もいるかもしれません。

また、日本も北朝鮮からサイバー攻撃を仕掛けられたことがあります。2022年に、約980億円相当の仮想通貨が5年にわたって盗まれ続けていたことが判明しました。

一昔前までは、防衛といえば「武力の攻撃から守ること」でした。
しかし、現在サイバー空間は「第5の戦闘空間」といわれ、サイバー防衛の重要性は武力攻撃に対する防衛と同じくらい高まっています。

これまでのインド太平洋地域に対する政策

2016年、当時の安倍総理大臣が「自由で開かれたインド太平洋」を提唱しました。
インド洋と太平洋に接するアジアとアフリカを繋ぎ、国際社会の発展を目指すというものです。

2021年には日・太平洋島しょ国国防大臣会合がテレビ会議で開かれました。
当時の岸防衛大臣が議長で、太平洋島しょ国のほか、アメリカ、イギリス、フランスなども参加しています。
自由で開かれたインド太平洋のほか、海洋安全保障、コロナ対策についても話し合われました。

今年3月には、岸田総理大臣がインドを訪問し、自由で開かれたインド太平洋に関するスピーチを行いました。

今回のニュースにも関連する!?中国が提唱する「一帯一路」とは

ちょうど10年前の2013年から、中国の最高指導者(=一番偉い)の習近平(しゅうきんぺい)さんが提唱しました。
アジアから中東、アフリカまでを陸路と海路で繋げて、貿易の円滑化と途上国のインフラ整備を目指すというものです。
広い地域にわたり経済活動を行うということで、この政策は「中国による広経済圏構想」と表現されます。

経済発展を遂げた中国が発展途上国の成長に貢献する…
何が問題なの?いいことじゃない?と思いますね。

この政策が進むにつれて、「債務のワナ」問題が次々と起こります。
中国は高速鉄道の線路や港など、インフラを整備しました。このお金は途上国が中国に借金をして捻出しています。
しかし、これが原因で中国からの借金まみれになる国が続出しました。例えばスリランカ。港を作りましたが、その借金を返すことができなさそう…と諦め、借金返済を免除してもらう代わりに中国に99年間の港の運営権をあげてしまいました。
初めからこれが目的だったのではないかといわれています。

日本の「自由で開かれたインド太平洋」はこのような中国のアジア・アフリカへの台頭に対抗するものではないと政府はいっていますが、少なからず意識しているのではないでしょうか。

どんな支援をする?今回のサイバー防衛の中身とは

サイバー防衛の内容
  1. 機器の導入を中心とした環境整備
  2. 共同演習の開催
  3. サイバー防衛に関する人材の育成

機器の導入といったハード面の対策とともに、人材育成といったソフト面の対策も行います。

亜子先生
亜子先生

機械、設備などの目に見えるものをハード、
人材、技術、情報など目に見えないものをソフト といいます。
さらっと使えるとかっこいいビジネス用語です。

日本はこれまでに多くの国とこういったサイバー防衛で協力してきました。
例えば、東南アジア諸国連合・別名ASEAN(アセアン)。
東南アジアは一帯一路のルートががっつり通っています。

また、日本・アメリカ・オーストラリア・インドの4カ国が参加するquad(クアッド)とも協力関係を築いています。
quadは「4つ」という意味です。この4カ国は太平洋の周りにある国で、立地条件のほか民主主義・自由経済といった価値観も共通しています。
インド太平洋地域の安全維持、軍備増強を続ける中国を牽制する目的で結成されました。

quadで取り決めたサイバー防衛の共同原則を、インド太平洋地域でも広げることを目指しています。

最後に

外交+ITという公務員試験が大好物な分野の組み合わせのニュースでした。
また、一帯一路構想は10年前に登場したワードですが、未だに頻繁にニュースに登場します。

時事問題は分野ごとに情報を詰め込む丸暗記では攻略できません。
関連のあることを一緒に頭に入れていけば、幅広く楽しく勉強できます。
今後もただニュースを紹介するのではなく、関連知識を一緒に学んで難しい時事問題に対応できる記事をアップしていきます。

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