神奈川県庁の職員採用試験は、地方上級に多い6月のほか、10月の「秋季チャレンジ」があります。
この記事では「秋季チャレンジ」の情報をお伝えするとともに、合格者が実施した徹底分析と効率重視の対策をまとめました。
なお、こちらは行政区分のみです。
とにかく倍率が高い秋季チャレンジ。筆記に特に自信がある方を除き、何もしなければまず一次も受かりません。しっかり分析と対策を行うことをおすすめします。
令和5年度(2023年度)神奈川県 I 種 秋季チャレンジの基本情報
1. 申込期間
申込期間:2023年9月1日(金)10:00〜9月15日(金)17:00受信分まで
2. 採用予定人数
37人程度
3. 試験科目
①第一次試験
基礎教養試験(40点・2時間)、自己PRシート(60点・1時間)
②第二次試験
第一回個別面接(50点・15分)、グループワーク(50点・45分)、第二回個別面接(200点・35分)
4. 試験の日程と場所
①第一次試験
試験日:10/22(日)9:30〜14:30
場所:神奈川県内
合格発表:11月8日(水)10:00〜
②第二次試験
試験日:
第一回個別面接 11月15日(水)〜11月20日(月)
グループワーク、第二次個別面接 11月27日(月)〜12月13日(水)
場所:横浜市内
最終合格発表:12月22日(金)10:00〜
過去の試験実施状況の分析
年度 | 採用予定 | 申込 | 一次受験者 | 一次合格者 | 二次受験者 | 最終合格者 | 倍率 |
---|---|---|---|---|---|---|---|
令和4 | 37 | 986 | 533 | 252 | 193 | 56 | 9.5 |
令和3 | 35 | 1287 | 708 | 251 | 210 | 50 | 14.2 |
令和2 | 42 | 1491 | 700 | 287 | 246 | 47 | 14.9 |
令和1 | 50 | 1172 | 628 | 281 | 230 | 68 | 9.2 |
平成30 | 50 | 1430 | 733 | 256 | 219 | 49 | 15.0 |
同じ神奈川県でも、6月の採用試験の倍率は5倍前後、低いときは3倍ということもあります。
それに対し、秋季チャレンジでは15倍の年もあり、倍率がとても高いです。民間志望者やまだ合格をもらえていない公務員志望者が殺到しているからです。
その中でも国家公務員を志望していた受験生は、地方上級試験より難易度の高い対策を行ってきているので高得点を取る傾向があります。
秋季チャレンジの基礎教養は、一般的な地方上級レベルより難易度が低いのでボーダーはかなり高いようです。
ボーダーの予測については、過去の合格者から得た情報が参考になります。
なお、問題の持ち帰りと自己採点はできないので本人の推測になることをご了承ください。
・数的と時事はほぼ満点の自信あり、ほとんど勉強していない自然科学でもなんとなく正解できた。文章理解も難易度はそれほど高くなく、満点の可能性が高い。
参考:国家総合19/40、国家一般29/40、特別区30/40
・数的は2問わからないものがあったくらいでほとんどできた。文章理解は問題文が短く、難しい専門用語が使われている文章はなかった。英文読解も高校以来ほとんど手をつけていなかったが簡単に感じた。
参考:国家一般職19/40、特別区31/40
・数的は高卒試験くらいの難易度のものが多かった。資料解釈はひねった問題はなく、問題集の基本問題でやったことがあるものばかりだった。
参考:特別区20/40、地方上級レベル模試19/40
近年の変更点からわかる「受かりやすい受験生」を徹底分析
大きなものではありませんが、2021年度の募集から出題範囲・出題数がマイナーチェンジしました。
どう変わったのか、なぜ変わったのか考えてみると、採用されやすい人材の特徴がわかります。
マイナーチェンジとは、出題範囲に「時事問題」が加わったことです。それまでは時事問題は主に「社会一般」に含まれており、「政治」と「経済」に少し入ってくるという感じでした。
新型コロナウイルス、軍事的脅威など、近年は予想できないような、生活を変えてしまう出来事が次々起こります。
そんな中で世の中の流れを知らない受験生は、行政職員になっても何の役に立つこともできません。
時事問題に強く、さらにそれを知識として終わらせることなく自らの頭で今後を予測できるような受験生を選抜するのではないでしょうか。
また、もともと秋チャレンジは専門試験をなくすなど民間企業志望者にも門戸を開いています。
民間だとこの時期にはもうほとんどの人が内定をもらっているので、何社もの試験や面接を経験済みです。民間の就活でも時事問題は重要度が高いため、その時事問題を多く出題することで民間志望者が受験しやすくなるような傾向を強めたのではないかと考えられます。
ちなみに、これは単純に感染拡大防止対策だと思いますが、2021年度はグループワークがなくなりました。
去年の2022年に復活し、今年度もばっちりあります。
配点は50点と特別高いわけではありませんが、グループワークを見ればその人の色々な能力をジャッジすることができるので、合格のための対策は必須です。
どんな能力を見極められるのか。わかりやすいのはコミュニケーション力やチームワークですね。
さらに、時事問題の知識や論理的思考力、問題提起・解決力などもよくわかってしまいます。
テーマが最近のニュースから選ばれた場合は時事の知識がなければ自分の意見を持つことはできません。
また、メンバーの考えを常に要約しながらそれを踏まえて発言する必要があるので、論理的思考力も必須です。
さらには、神奈川県のグループワークは「〜についてどのような取り組みが必要か」という解決型の課題が多いです。普段から課題を見つけて自分なりの解決法を探る練習をしておかなければゴールにたどりつけません。
これらのことから、時事問題がかなり重視されていることがわかります。
1年以内のニュースに注目し、ただそれを丸暗記するのではなく、課題と対策を自分なりに考えられる受験生が受かりやすいと考えられます。
筆記試験合格のための戦略
ではここから、具体的にどう勉強したら良いかをお話します。
まずは一次の筆記試験について。
ボーダーが高く、年度によっては半分が落とされる超難関試験です。
亜子先生が考える神奈川県秋季チャレンジの戦略は、「次の3科目をメインに据え、そこから知識を広げていく」というものです。
なぜこの3科目かというと、出題数が多い・他の科目に応用しやすい という2つの理由があるからです。
科目数が多い公務員試験は、それぞれの科目のテキストや過去問集を使って、科目ごとに勉強していくスタイルの方がほとんどです。
この勉強法だと、全部手をつければ多くて20冊ほど、捨て科目を作ったとしても5〜10冊ほどを読み込まないと合格は難しいです。
この大量の科目を、別のテキストを使ってそれぞれ勉強しているので、たとえ別科目で知っている知識が出てきたとしても新しい知識のように感じてしまいます。
やってもやっても終わる気がせず、途中で挫折してしまう人が多いのも無理はありません。
そこで、「メインは3科目に絞って、他の科目はその3科目で応用できるところに絞る」という方法だと、効率よく、かつ理解しながら勉強できます。
わかりやすく例を挙げてみましょう。
数的処理で頻出の「速さ」。公式を使って文章問題を解いていきますね。
その速さの公式を応用して自然科学の物理もついでに勉強してしまいます。
自然科学の問題集1冊読み込んだとしても理解できていなければ全滅の可能性がありますが、
数的処理のついでに物理も手をつけ、1問取れればかなり効率が良いのではないでしょうか。
速さの公式を使う場面が増えるので、科目ごと単品で勉強するよりも数的処理と物理の問題に対する「慣れ」も倍以上違ってきます。
この勉強方法はとにかく短期決戦の効率重視なので、今から試験勉強をスタートさせる方や仕事と両立させなければならない方など、2ヶ月間しか猶予がない場合にも有効です。
このサイトでは数的処理や時事問題などをわかりやすく解説していますが、その科目だけで終わらせず、他の科目も同時に勉強できるように知識を広げて解説しています。
ある時事問題の記事がこちらです。一つのニュースから、論文や政治経済の対策も同時にできるのがわかると思います。
しっかり活用してぜひ秋季チャレンジを勝ち取ってください。
面接・グループワーク試験合格のための戦略
筆記試験を突破しても、さらに倍率の高い二次試験、面接とグループワークが待っています。
この試験は、どう対策したら良いか悩む受験生も多く、なにも対策せずに本番を迎えてしまう方もいるほどです。
逆にいえば、秋季チャレンジの時期や受験生の特徴をしっかり踏まえ、それに特化した対策をすれば十分合格が狙えるということです。
面接対策
今からでもすぐにできる面接対策は、まず「想定質問を考えること」。
これはやっている方も多いと思いますが、ほとんどの方は考える量が圧倒的にたりません。
この秋季チャレンジは面接慣れした受験生がダントツに多いので、200〜300は質問を想定しておく必要があります。
これだけたくさん質問を考えるのは、「どんな質問にも答えられるようにするため」だけではありません。
質問を考えるという作業の中で、「いままで気づいていなかったところまで深く自己分析ができる」というメリットがあります。
自己分析ができれば、必ず面接でしつこく聞かれる「やりたい仕事」を説得力を持って答えることができます。「大学で学んだから」というような多くの受験生と差がつきにくい回答で終わることなく、面接官の印象に残りやすいようなエピソードも話せるようになります。
想定質問の数は多ければ多いほど良いです。
自己分析も兼ねているので、「これは公務員試験では聞かれないよな〜」というようなものもどんどん含めてください。例えばこんな細かい質問。
・あなたの中での親友と呼べる基準は?
・どんな小学生・中学生だった?
・お酒で失敗しないために気をつけていることは?
ぜひ300を目標にたくさん考えてみてください。
なかなか思いつかなくて行き詰まっている方、勉強時間が取れず秋季チャレンジに特化して質問を絞り込みたい方、面接練習と同時進行でやりたい方向けに、現在個別授業を実施しています。
お問い合わせフォームよりご連絡ください。
グループワーク対策
こちらも対策に困る試験ですね。
YouTubeには、グループワークのコツや実際の試験の様子などがアップされていますが、これを見ているだけでは試験で活かすことができません。
自分も実際にグループワークに参加する必要があります。
しかし、グループワークの練習は他の参加者がいないとできず、これができればいいのですが、なかなか環境が整っていない人もいるかと思います。
安心してください。グループワーク対策は筆記試験と同じで独学でも十分可能です。
その流れを簡単に説明しますので、今すぐにでも実践してください。
まず、グループワークの流れを覚えます。そのときによって細かな違いはあれど、YouTubeで紹介されている実際のグループワークの流れがオーソドックスです。
たいていの場合、このように進んでいくかと思います。
役割決め→自分の意見を発表→各意見をまとめる→リーダーがグループの意見を発表
流れが把握できたら、1人6役でシミュレーションをします。
つまり、「自分でテーマを設定し、6人分の意見で出し、一つにまとめる」という工程を繰り返します。
想像すると寂しい感じがしますが、効果は抜群です。
グループワークのイメージトレーニングができるだけでなく、1人で6人分の意見を出さなければならないので、自分の意見を伝える練習にもなります。
なお、秋季チャレンジの場合は一次試験の合格発表の際にグループワークの課題が発表されます。
なるべく余裕を持って早めに対策をする方はテーマを予想してこの対策を実践してください。
時間に余裕がなく、一次試験合格後にグループワークの対策を始める方は、そのテーマで6人分の意見を出すところからやってみてください。
最後に
首都圏の主要な公務員試験では、この秋季チャレンジが最終のチャンスになります。難易度が最も高い試験の一つですが、しっかり対策をして合格をかちとりましょう。
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